あなたは車が好きだろうか?
最近は若年層の車離れと言われ、化石燃料を使用する車は電気自動車に置き換わり、ライドシェアなどのサービスが増えてきて自動車産業も大きな変革を求められる時代になってきた。きっと10年後には車を取り巻く環境も大きく変わっていることだろう。
その一方でフェラーリやランボルギーニ、ポルシェに代表されるスーパーカーの世界ではモデルが新しくなるごとに価格設定が大きく跳ね上がり、その新しいモデルが発表されれば一瞬で予約が埋まってしまうということも珍しくない。
自動車の価格
見出し3
見出し4
国産自動車では、ローエンドは軽自動車の100万円前後からハイエンドではレクサスの1000万円に至るまで幅広い価格帯で展開されているが、先に述べた海外スーパーカーでは3000万円超にもかかわらず売れ行きは衰えることを知らない。
これらのスーパーカーを手に入れるためにはとんでもなく高額な出費を強いられるが、そこまでとは言わないまでも自動車は住宅に次いで高額な出費となる買い物だ。
普通100万を超えるような買い物は人生の中でそうそう起こることがない出来事なのだが、こと自動車となると生きている間に少なくとも数台の買い換えは生じると思う。
資産形成ではこの大きな買い物をどうとらえたら良いか考えてみたい。
派手なIT企業社長や成り上がった人が乗っている印象が強いスーパーカーであるが、実際に富裕層がフェラーリを所有する割合は多い。
フェラーリやランボルギーニはそのエキゾチックな意匠はもちろんのこと、高い運動性能を持ち合わせ男の心を釘付けにする。
これは成人に限った話では無く、車に興味を持ち始めた小学生をも同様に惹きつける。
私も小学生高学年の時に「スーパーカーブーム」の旋風が巻き起こり、フェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ、デ・トマソ等にクラスの男どもが心ときめいたものだった。
世の中の富裕層や成功者がこれと同じ原体験をしており「大きくなったら」あるいは「成功したら」絶対手に入れる、と誓うことも少なくない。そしてそれが収入アップへの道だったり事業を成功・拡大させるモチベーションになっている。
ところで一般的に自動車という資産は積極的な資産形成のためのアイテムとは考えられていない。というのも税制上の減価償却や耐用年数の話を持ち出すまでも無く新車で購入しても3年で購入時の半額程度、5年で30%程度にまで価値が下がってしまうのは多くの人が経験している。ましてや8年以上経過した車は買い取り価格が0になるどころか処理費用を請求されることはざらだ。
国産車で人気がある車種としてトヨタのミニバン、アルファード/ヴェルファイアがボリュームゾーンで500万円あたりとかなりの高額な部類になるが、こんな高額な車であっても理屈上は8年経ってしまえば0円だ。
もちろん人気のグレードであるとか、人気カラーであるとか、非常に丁寧に乗っていてコンディションが極めて良いとか、そのような要因があれば多少は値段をつけてくれる場合もあるので全てが0円とはならないにしても、500万円という出費が大きく毀損することには変わりない。
高級車と言えばドイツのメルセデスベンツやBMWが思い浮かばれるが、実はこれとて例外では無い。
ベンツやレクサスも8年経てば二束三文なのである。
これがフェラーリの場合はどうだろうか。
フェラーリも新車から数年経てば売却額は大きく下がるが、実はこれ以降は下がっていかない。
スペチアーレと呼ばれる特別モデルであればむしろ購入時より価格が跳ね上がることは普通だ。
標準モデルであっても、一旦ある程度下がった後はずっと一定の水準で推移する。
仮に購入時2400万円のフェラーリが半額に下がって1200万円になったとすると、その後はほぼ1200万円のまま推移すると言うことだ。
目減りした金額は1200万円なので、金額の大小から言えば500万円から0円になった国産車とは比較にならないが、その代わり10年20年経過しても1200万円の資産が手元に残っているのである。
ちなみに1999年に生産終了となったフェラーリF355の中古価格はこちら
GooWorld フェラーリF355の価格
もう少し効率的な購入を考えれば、半額に落ちた中古のフェラーリを購入すれば何年経っても資産額が減らない。
ここに今回の話のミソがある。
結論
資産を増やすためには収入のアップを目指すのは大事だが、それにも増して重要なのがキャッシュを極力減らさないことに留意するべきで、このような考え基づくなら4年落ちくらいのリーズナブルな中古車を10年以上乗り続けるのが理にかなう。(古くなってメンテナンスコストが増えるという弊害もあるけれど)
でも消耗品という位置づけではなく、車を積極的な資産形成の対象とするなら半額程度になった中古プレミアムカーを購入する方がよほどキャッシュロスにはならないのである。
車好きならフェラーリのようなスーパーカーを「いつか金持ちになったら絶対手に入れる」と心に誓う人は少なくないと思うけれど、金持ちになるのを待たずフルローンを組んででもすぐに手に入れる方が、国産車を何台も買い換えて行くよりキャッシュロスを防ぐという意味で、よほど金持ちへの近道と考えることもできる。
富裕層の中には何台ものフェラーリを所有しているのを見聞きする話だが、実際はそれで多額のお金を減らすのではなく、逆にたくさんの含み益を増やしているというロジックが成立しているのである。お金を少しでも増やしたい(減らしたくない)と思うなら、中途半端に国産高級車など買わず安いコンパクトカーをなるべく長く乗って浮いた分を早い内に投資に回すか、もしくはとっととフェラーリを買ってしまって目減りしない資産を確保してしまうかの両極端に戦略を整えるべきだ。
注)ここに述べた金額等の数字はあくまでも一例であり、モデルやグレード等および時代背景等の要因で大きく異なることがあることをお断りしておく。